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家族とつながる家づくり

建物のはなし
2018.10.10

窓の役割について考えてみたことはありますか?

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「みなさーん、お家の絵をかいてみましょう」
図工の時間、幼稚園や小学校で先生が子供たちに言います。
子供たちは「はーい」と手を上げて、各々画用紙に「家」の絵を描き始めます。
そこで、世界中の子供たちの描く絵に共通しているものは、何でしょう?

そう。それは、屋根と壁、そして窓です。
家に必須の3アイテムですね。
どんな家にも、屋根と壁と窓があるのです。

家を、雨風をしのぐためだけのものと考えれば、屋根と壁があれば十分のように思えますが、エスキモーの氷の家や山岳民族の洞窟の家など特殊な例を除けば、世界中のどんな家にも窓があるのです。

考えてみれば、どうして家には「窓」があるのでしょう?
今日はこの「窓」について考えてみたいと思います。

家の内側と外側をつなぐ窓

冬から春にかけて木々には一斉に新芽が芽吹き、花が咲き誇る気持ちよい季節。
夏の暑さが徐々に和らぎ、日差しが心地よく感じる季節。
このように、暖房や冷房を付けなくても過ごせる季節を、建築の世界では主に「中間期」と呼びます。
このような季節は窓を開けて、外の気持ちよい空気を取入れたくなる方も多いでしょう。

また、窓を開けたくても逆に、花粉や黄砂、PM2.5などが飛んでいる外の空気を、できるだけ家に入れたくないと思う方も少なくないでしょう。

家の必須アイテムである窓は、昔からその役割は変わっていません。
人が快適に生活するためには、屋根と壁に囲まれるだけでは不十分です。
物を見るためには光が必要ですし、人が長時間家にいると新しい空気も必要です。

また何より、人が健康を保つためには、外界との繋がりが必要なのです。
建築の世界では、太陽の光や風を効率よく取入れるために、現在でも窓の大きさや取付け位置を決定しています。

特にその特徴が顕著に現れているのが、今でもよく見かける、南面に掃出し窓がずらりと並んだ古い日本家屋です。
先進国の中で、ここまで大きな窓を連続して設ける習慣は多くありません。
他国と比べて犯罪が少ないからかもしれませんが、日本人は昔から大きな窓を通して太陽の光や風をたくさん家の中に取り入れることが好きな民族なのかも知れませんね。

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実は、窓がなくても換気はできる

新築の住宅を建てるとき、24時間換気の計画の実施が義務付けられています。
どんな家でも、24時間、機械で換気する必要があるのです。

実際、窓を開閉すればよいのに、なぜ24時間動き続ける換気設備を取付けなければならないのでしょうか。
一体、24時間換気とはどんなものなのでしょうか?

昨今、新建材の発達や新しい工法の開発から、日本の住宅の気密性が格段に良くなりました。
よく言えば、今まで隙間風によって換気されていた室内空気は、"隙間風による換気"がなくなることでいくつかの問題が起こるようになりました。

その中の一つにシックハウス症候群があげられます。
これは、建築資材や接着剤、建具や家具などに含まれていた、ホルムアルデヒドなど「VOC」と呼ばれる化学物質が室内に放出されることにより、空気汚染が起こり発症したアレルギー症状です。
気密性を良くする事で住宅の温熱性能が上がり、別の問題が発生してしまったのです。

そして、この空気汚染を防ぐために24時間換気が義務付けられました。
人工的に家の中の空気を入れ替える事によって、室内のVOC濃度が上がらないようにすることが目的です。

しかし、冬場は冷たい空気が給気口(新鮮な外気を取入れる開口)から入ってくるため、多くの方がこっそり運転を停止させてしまった経験をお持ちではないでしょうか。

その現象は第3種換気(自然給気、機械排気)だから起こることです。
しかし、住宅の気密性や断熱性が上がることで、24時間換気も第3種換気から第1種換気(機械給気、機械排気)に徐々に移行しています。

それに伴って、外気と室内の空気を入れ替えるときに、空気の熱交換を行なう機能を持たせる換気装置も増えてきました。
例えば冬季には、外からの冷たい給気と部屋の中からの暖かい排気を熱交換することで給気の温度を上げて、"寒くならない"換気をすることが出来るのです。

このように1年中換気をしているのであれば『窓はいらないのでは?』または『窓を開ける必要はないのでは?』と思う方もいらっしゃるでしょう。

法律で決められた窓の大きさがあるのです

では窓の大きさはどのように決めているのでしょうか。
法律(建築基準法)には、居室(人が生活する部屋)には窓を設けて、自然光(採光)を取入れなければいけないという規定があります。

建築する用途地域によってその数値は変わってきますが、最も住宅が建てられる「住居地域」では、住宅の居室には部屋の大きさ(床面積)の1/7以上の採光有効開口が必要だと決められています。
これは最低限の基準です。
用途地域によっても床面積に対する採光開口面積の大きさは変わってきますが、隣地との距離が殆どないような狭小敷地の場合でも、同じように居室には光を取入れるための窓が必要になります。

光を多く取り入れたいと思えば建築基準法で決められたサイズよりも大きい窓をつければ良いのですが、ここ数年で、ただ窓を大きくして光をたくさん入れれば良いといった風潮にも変化が出てきています。
先ほど、気密性という言葉を使いましたが、やはり気密性・断熱性に優れた家を求める人が増えてきているため、外気の影響を受けやすい窓に関してはできるだけ小さく、または性能の良い窓を設置するように変わってきています。

気密性・断熱性を高めようとすることで窓の大きさやデザインも変化をしてきていますが、やはり南面には大きな窓を設置して、光を多く部屋の中に取入れたいと考えてしまうものです。
小さな窓を水廻りや東西、北側に面する窓に配置する事で、西日や朝日が直接入るのを防いだり、北側の冷たい空気に触れる面積を極力小さくする事で、冷気が室内に入りにくくします。

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窓の種類による使いわけ

窓の種類も、材料やデザイン面など様々なタイプの窓が作られており、使用する場所や、使用方法、取付け位置などを考慮して使い分けるようにします。
リビングや居室の南面には大きな窓を設置し、太陽の光と熱をたくさん取り入れられるよう工夫します。

水廻り(浴室・洗面・トイレ)などは北に配置する事が多くなるので、冬の冷気が室内に入る事も考慮して小窓を使用する事が多くなります。

また、道路などに面する場所の窓は高い位置に取付けることで、視線をはずしながら光を上手く取入れるといった工夫をしたりします。

窓は換気と光を入れるためだけのもの?

今まで窓の換気と光の機能について書いてきましたが、では、窓は換気と光を入れるためだけのものなのでしょうか?

家の外観において、窓はとても重要なアイテムです。
外観のデザインを良くしたいと考えたとき、同じ窓を使っても、窓の位置や大きさを揃えたりすると格好が良く見えます。
特に、様々な大きさの窓が並ぶとき、窓の上側の位置だけは同じ高さに揃えておくと、とても感じが良く見えます。
これは、上側だけでも横一列に並ぶと安定感が増してくる効果を利用しています。

逆に、町を歩いていてたまに目に付きますが、窓の上側を揃えていない住宅は、とてもバランスが悪くてみすぼらしく見えたりします。
窓の大きさや配置によって印象が変わるのが家の外観です。
部屋の中からの窓の位置を考えるだけでなく、外から見たときの窓の外観も一緒に考えるのが、カッコいい家づくりの秘訣の一つになるのです。

また、外の景色を上手く取入れるということも窓の役割の一つだと考えています。
庭がきちんと取れる家であれば、リビングと庭を一体化するような窓を作ることで、リビングを更に広く感じる事ができるプランになります。

昔から「借景」という言葉があります。
自宅の周りの山や木々、空といった風景を自分の庭の一部であるかのように組み込んで一つの景観として見せる造園の技法です。
窓を使っても似たようなことが可能です。

窓枠を一つの額縁のように考えて、窓から見える景色を絵画のようにはめ込んで見せるよう、工夫するのです。
その家から見える「最も良い景色」を、窓を通して楽しめるようプランを考えることも可能です。
季節によって移り変わる風景を、窓を通していつも感じられる家って、とても素敵でしょう。

日本庭園で有名なある美術館には、和室の床の間部分にこの手法が取入れられています。
掛け軸の形にガラス張りになった床の間は、四季折々の庭園を掛け軸の絵に見立てるといった見せ方をしています。
日本人ならではの趣向だとつくづく感じてしまいます。

省エネとして窓を選ぶこともこれからは重要なことですが、風や光も上手く取入れながら、家のデザインとして、または庭を部屋の延長線の一部として取入れる手段として、上手く窓の形や取付け位置、大きさを選んでいくことが、良い家づくりに必要なことの一つだと思います。

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日本の家は換気を重視した家が多いことを知っていますか?興味のある方はこちらから!!

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